« MYSCON6でのインタビュー | トップページ | インパチェンスの苗が届いた »

2005.04.18

初めての歌舞伎、初めての御園座

 お義母さんから鑑賞券をいただいたので「御園座創立百十周年記念 陽春花形歌舞伎」を観に御園座へ行きました。
 御園座といえば名古屋でも有名な劇場なんですが、じつは初体験です。歌舞伎も初めて。
 入ってみてまずびっくりしたのは、まるで空港の免税店か市のように店が軒を連ねているところ。土産物や小物、食品に至るまでその商品の豊富さに驚きます。ほんとうにここ劇場なのか? 試食販売なんかもしてるし。
 ぶらぶらと眺めて歩いていると、隠れた名古屋名物として名の高い御園座アイス最中の店があったので、これは一度ためしてみなければと抹茶アイスを買いました。その場で最中皮に詰めてくれるので皮はパリパリ、アイスは程よい甘さで上品。いやもう、生まれてこのかたこんなに美味しいアイス最中は食べたことがない。これが食べられるだけでも御園座に来てよかったと思いましたよ。

 さて肝心の歌舞伎ですが、今回は「双蝶々曲輪日記 引窓」「道元の月」「お祭り」の三作。
「双蝶々曲輪日記 引窓」は江戸時代からあるお芝居。故あって人を殺めた相撲取り濡髪が、捕縛されるまえに一目母親に会おうと淀川べりの里にやってくる。母のお幸は義理の息子与兵衛と女房お早と静かに暮らしていた。折しも与兵衛は村代官の役を仰せつけられ意気揚々と帰ってくるが、その初仕事というのが濡髪を捕縛することであった……という話。やってきた濡髪を逃がすか、捕まえるか、母親と実の息子、そして義理の息子とその妻の互いに労りあう気持ちと義理と矜持が絡み合い、一場の中で物語が二転三転としていきます。これはすごい。歌舞伎ってこんな心理劇だったんだ。思わず舞台に引き込まれてしまいました。役者の所作も大仰ながら心理描写のひとつとしてとても的確だったし、これは古典なんてもんじゃない、優れた演劇でありましたよ。中でも与兵衛を演じた中村橋之助がじつにいい。ファンになりました。
 お義母さんに「イヤホンガイドを利用したほうがいい」と言われてそのとおりに借りたんですが、これは正解でしたね。場面場面で的確な解説をしてくれたので、古典に馴染みのない人でも舞台が楽しめるようになってます。
 打って変わって「道元の月」は立松和平原作の新作で曹洞宗の開祖道元のお話。永平寺で弟子たちと修行を積んでいる道元が、時の執権北条時頼に請われて鎌倉にやってくる。権力闘争と血みどろの戦に疲れ、いつかは自らも滅びるのではないかと不安に苛まれてる時頼は道元に救いを求めるのだけど、道元は一言「すべてを捨てなさい」と言う。執権の地位を捨て栄誉も家族も捨て、ただ座禅をして悟りを開けと。
 これはまあ曹洞宗のプロパガンダ演劇ですね。うちも一応曹洞宗で道元というひとは好きなんだけど、この話にはちょっと疑問を持ちました。たしかにすべてを捨てて座禅を組めば迷いは消えるだろうけどさ、すべての人間が自分の仕事を捨てて修行始めたら、世の中が成り立たなくなるじゃん。僧が修行三昧の暮らしができるのも、それを直接間接に支えている人々の仕事があってこそなんだし。芝居の最初のほうで典座(食事の支度)をしている僧が「衣食住すべての行いが修行である」と言ってたので、ならば執権もまた修行であると言うのかと思ったんだけど。
 ただ道元役の板東三津五郎と時頼役の橋之助は、やはりいい。品のある素敵な演技でした。
 最後の「お祭り」は板東流家元でもある三津五郎の踊り。これはもう派手やかで美しくてうっとりするような舞踊でした。上質のエンターテインメントでしたよ。

|

« MYSCON6でのインタビュー | トップページ | インパチェンスの苗が届いた »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 初めての歌舞伎、初めての御園座:

« MYSCON6でのインタビュー | トップページ | インパチェンスの苗が届いた »