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2004.04.04

○4月1日
 宿少最終巻、進まず。
 ラストシーンまであと一歩のところまできているのに、そこに至る道筋が見えない。
 呻吟しつつ、5枚程度しか書けなかった。自己嫌悪。
 夜、「イッセー尾形のとまらない生活 2004 in 名古屋」を観に行く。イッセー尾形の独り芝居。今回はチェロ奏者の話が一番好き。名作「ヘイ、タクシー」の再演もあって、お得だった。

○4月2日
 今日も書けないだろうと半ば諦めつつ宿少最終巻に取りかかる。
 が、少し書いていると、いきなり神様が降りてきた。
 ラストシーンまでの道筋がくっきりと見えてくる。
 小説を書いていると、こういう瞬間がときどき訪れる。ときどきってのが辛いけど。毎日降りきてくれたら、年間10冊も夢じゃないのに。
 ともあれ、神様のお導きに従い、猛然と書き進める。この勢いなら最後まで行けるかもしれない。一気呵成。
 クライマックスシーンに差しかかると、書きながら涙腺が緩んできた。ああ、この感覚も久しぶり。自分の書いているシーンに泣かされる。それほど劇的な場面でもないのだけど。
 真夜中を過ぎた頃、打鍵が止まる。気持ちは行け行けドンドンなのだが、右腕が痛くて動かなくなってきた。知らず知らずのうちに余計な力を籠めてキーボードを叩いていたらしい。振り返ってみると40枚。一日でこの数字は近年稀だけど、ちょっと不甲斐ない。少し昔なら神様が降りると70枚くらい書けていたのに。気持ちは萎えてないが、体が言うことを聞かないのだ。都市化、じゃない、歳か。
 諦めて寝ることにする。
 嫁さんに「最後のシーンを書いちゃうのって寂しくない?」と訊かれる。まだそんな感覚はない。ただ終わらせたいと思うだけ。

○4月3日
 朝起きても、気持ちはまだ萎えていなかった。食事を済ませ、早速取りかかる。
 腕の痛みは残っているが、かまわず書く。
 昼過ぎ、遂に最後の一行に辿りつく。この数年間、頭の中にずっと留まりつづけていた一行だ。この一行を書くために宿少を書きつづけた。
 その一行を、とうとう書くことができた。
 右腕全体が熱を持って、腫れぼったいような感覚。自分の中にあるのは、これだけ。達成感も、寂しさもない。10年かけて書きつづけてきたシリーズが完結したというのに。しかしまあ、感慨は後からやってくるだろう。書き上げたといってもまだ、全体の見直しは必要だし。
 最終巻は480枚。思ったより長くなった。
 残る問題はタイトル。いっそのこと『宿少最終巻』で通そうか、とも思ったが、それはいくらなんでも。
 昨日今日と書いた分を読み返し、熟慮の末、『宙』というタイトルに決めた。「宙」と書いて「そら」と読む。思い切りそっけないタイトルだが、他にはもう思いつかない。
 夕食時、嫁さんとビールで乾杯。
 夜、WWEの年間最大イベントである「レッスルマニア」を心置きなく観る。
 今年はアンダーテイカーとクリス・ベノワのレッスルマニアであったなあ。ベノワ、タイトル奪取おめでとう!

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