ロック様を堪能
映画「ランダウン」を観た。
借金を返すためと自分のレストランを持つために賞金稼ぎをしている男が、暗黒街のボスのどら息子を連れ戻すという仕事を引き受け、アマゾン奥地に向かう。そこには現地民を酷使して金鉱堀りをしている独裁者めいた男がいて、どら息子が見つけた黄金の秘宝を巡って一悶着、という話。
普通はまあ、わざわざ観に行く気にはならないタイプの映画ではある。ではなぜ映画館まで足を運んだかというと、主人公の賞金稼ぎを演じているのがWWEのスーパースター、ロック様だからだ。
「スコーピオン・キング」で主役を張ったとはいえ、まだロック様は映画スターとしては新人。WWEでずっとロック様を観続けてきた僕ら夫婦からすると、遠い親戚の息子が頑張ってるから応援してやろう、というような心情である。まだまだ日本ではロック様の認知度は低いしね。
で、見終わった感想だが、嫁さんが端なくも言った「アイドル映画みたい」という感想がまさにぴったり。
ロック様をたたひたすらかっこよく見せている。それだけの映画、と言えなくもない。
映画として観た場合、細かな、しかし結構重要な部分を抜かしているような気がする。脇役の肉付けとか、そういったところだ。敵役のボス(クリストファー・ウォーケンが怪演)は、まあいいとして、その部下の男とか、ロック様に加担するセスナのパイロットとか、そのあたりの描き込みが雑なせいで、物語に膨らみがない。また銃を使わない主義という設定のロック様が最後の最後にライフルの二丁拳銃撃ちで大暴れするのがクライマックスなのだけど、なぜロック様がそんなに銃を嫌悪するのかが描かれていないので、今ひとつ盛り上がりに欠けるような印象を受けた。つまり、映画としてはあまり良い点をあげられないということだ。
しかし一方、ロック様映画としてはこれ以上ないくらいの楽しさだった。ここのところ映画の仕事が忙しくてリングに立たないロック様の姿が存分に拝めるのだから、ロック様欠乏症((C)黒崎緑さん)の僕らは大満足。なんたって必殺技ロックボトムまで見せてくれるんだもの。そういう点がアイドル映画を想起させるのだろう。つまり主役を演じるタレントを輝かせるために作られた映画ということ。
しかしなあ、ロック様がこの先映画スターとしてキャリアを重ねていくのなら、こういう映画作りはもうやめたほうがいいんじゃないだろうか。幸い、ロック様の演技は他の役者と比べても遜色ないものなので、これからは映画としてのクオリティを高めてもらいたい。次回作「ウォーキング・トール」やジョン・ウーが監督するという新作に期待しよう。
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