みそ煮込み南湖
大阪の講談師旭堂南湖さんが名古屋で講談を披露する「みそ煮込み南湖」の三回目。会場は僕の家から歩いていける距離にありました。
演目は「新作講談 波照間島」「古典講談 寛政力士伝より 谷風の人情相撲」「講談紙芝居 原子怪物ガニラ」「探偵講談 乱歩一代記より 乱歩と神田伯龍」
話芸をライブで楽しむ機会はあまりないでしょうが、お勧めですよ。日本語ってのはこんなに生き生きと楽しいものなのか、と再認識させてくれます。
「波照間島」は新作講談ということでしたが、ご本人が今一つの出来と感じたのか本編は粗筋だけ、ほとんどが南湖さんの沖縄滞在記でした。しゃべりによるエッセイという趣で楽しかったです。
ご本人が「おまけですから」としきりに主張されていた「原子怪物ガニラ」も、怪獣フリークには興味ある作品でしたよ。大きな蟹がただ暴れるだけの話でしたけど。
「乱歩と神田伯龍」は蔵に籠もって新作執筆に悩む乱歩の許へ、明智小五郎のモデルとなった講談師神田伯龍が乱歩一代記を講談にしたいと尋ねてきて……いうお話。乱歩の半生をうまく紹介しながら、最後に世界をくるりと反転させ「うつし世」と「夢」を見事に引っくり返してくれました。
講談の後は「乱歩と神田伯龍」の作者でもある芦辺拓さんと恒例の対談。アンケートを観客に書いてもらって、そこにある質問に答えながら、という形式でしたが、今回びっくりしたのは映画評論家の森卓也さんがいらしていたこと。僕は大学時代に森さんの『アニメーションのギャグ世界』を読んでいて、現在も中日新聞に連載されている映画評のファンだったんです。芦辺さんも『アニメーションのギャグ世界』を読んでいらしたそうです。やはりあの本は当時のサブカルチャー好き若者のバイブルだったんだなあ。対談の後、芦辺さんを交えて少しお話もさせていただきました。
講談の後は会場でもあったお食事処「楽」で宴会。今日はちょうど南湖さんのお誕生日だったそうで、同じく誕生日だった参加者のちえべさんともどもケーキを贈られていました。
宴会参加者はミステリ好きが多くて僕の本を読んでくださっているかたもいたので、楽しくお話できました。気持ちよく酒を飲んでいる間に、ついついあまり余所には洩らせない業界の裏話もしてしまったような。いかんなあ、僕は普段アサリのように口が堅い人間なんだけど。ま、アサリってのは酒蒸しするとバッと口を開いちゃうもんですが。
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