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2004.12.08

「ゴジラ FINAL WARS」を観る

 自分の怪獣映画、特にゴジラ映画に対する評価は思いっきりバイアスがかかっていて、映画としてどんなにダメであっても、ゴジラさえ動いていればそれでOKと思ってしまう、ということは重々承知。その上であえて言います。こいつぁ面白い!

 北村龍平監督は僕より十歳若い。ってことは多分「東宝チャンピオンまつり」でゴジラ映画を観たのではないかと思います。夏休みや冬休みの時期、ゴジラ映画に「アタックNo.1」や「みなしごハッチ」といったアニメをくっつけて子供たちを映画館に呼び寄せた企画のことです。この頃に制作されたゴジラ映画はお子様向けとしてかなり特化してしまった作品ばかりで、公害を扱って結果的に大異色作となった「ゴジラ対ヘドラ」以外は、これまでの「心あるゴジラファン」には低い評価しか受けてきませんでした。僕自身「ゴジラ対メガロ」で「こりゃダメだ」とサジを投げ、以後は見にいかなくなったくらいです。映画も頭打ちになったのか、1975年の「メカゴジラの逆襲」でゴジラ映画は一旦打ち切りとなりました。
 1984年にゴジラ映画は復活するのですが、以後の作品は基本的に第二作「ゴジラの逆襲」のリメイクという形を取っています。1954年に一度ゴジラが出現し、オキシジェンデストロイヤーによって殲滅された、という設定で、二頭目のゴジラが現れる、というのが物語の流れ。つまり、第三作「キングコング対ゴジラ」以降「メカゴジラの逆襲」までのゴジラ映画は「なかったこと」にされているわけですね。
 しかし今回の「ゴジラ FINAL WARS」は、その流れに真っ向から異を唱えたかのように、チャンピオンまつりで登場した怪獣たち、ヘドラ、キングシーサー、ガイガンなどを登場させ、世界中で大暴れさせます。これは「怪獣大戦争」か「怪獣総進撃」のリメイクといってもいいでしょうね。
 その北村監督の作風は、よく言えば豪快、悪く言えば乱暴。とにかくハチャメチャです。海底軍艦や妖星ゴラスといったゴジラ以外の東宝特撮映画だけでなく、「マトリックス」やら「スターウォーズ」やらを明らかに元ネタのわかる形で盛り込み、文字どおりおもちゃ箱をぶちまけたような映画に仕上げています。あまりにあからさまなので、観ていて笑ってしまうくらい。でもこの笑い、嘲笑ではありません。ほとんどリスペクトの気分です。ここまでやってくれるなら、文句は言わないよって感じ。
 人間の役者のほうは、ドン・フライが意外にいい味を出してました。でも出色はやはりX星人を演じた北村一輝でしょう。眼が完全にイッちゃってます。すごすぎ。最優秀助演賞もの。おまけに最優秀台詞賞もあげちゃおう。ゴジラがハリウッド版GODZILLAを秒殺したときの悔し紛れの一言「ちっ、やっぱマグロばっかり食ってる奴はダメだ」に決定。

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