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2006.08.06

訃報

 講談社の担当さんから宇山日出臣さんの訃報を知らされたのが、4日の夜のことでした。
 それから数日経って、新聞にも訃報が載っているのを読んだのですが、そして今日もお通夜に伺うために新幹線のチケットとかを取りにいったりしているのですが、それでも、まだ、実感が湧きません。宇山さんが亡くなった? そんな、馬鹿な。

 僕のホームページのプロフィールのところにある「ものかきへの長い道」というエッセイにU氏という編集者が登場します。ショートショートコンテストで優秀作に選ばれてショートショートランドという雑誌に投稿をしていたとき、誰よりも熱心に僕の原稿を読んでくれた編集者。そして僕に本格ミステリを書いてみないかとと言ってくれた編集者。
 それがU氏……宇山さんでした。もしも宇山さんがいなかったら、僕は間違いなく、作家にはなっていなかったでしょう。
 僕だけではありません。当時すでに過去のものと思われていた本格ミステリを新人作家の発掘によって再生させ、現在のような隆盛に導いた立役者、それが宇山さんでした。宇山さんの手で産声を上げた作家は、他にもたくさんいます。
 宇山さんが定年前の仕事として立ち上げた企画であるミステリーランドでも声をかけてもらい、それに応じて書いた『黄金蝶ひとり』でうつのみやこども賞をいただくことができました。何もかも、宇山さんのおかげです。
 ここ数年、体調を崩しておられることは知っていましたが、ときおりパーティなどでお見かけするときは元気で、まだいろいろなお話を聞くことができました。だからこそ、唐突に思えてなりません。

「ご冥福をお祈りします」という言葉を、まだ口にすることができません。そんなことを言ってしまったら、本当に宇山さんがいなくなってしまったということを認めたことになってしまう。だから、お通夜に伺って、宇山さんに会ってくるつもりです。

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コメント

太田さん、こんにちは。
私は今朝の新聞で知りましたが、本当に驚きました。
5月にうつのみやこども賞でお目にかかったのが、最初で、そして最後となりました。
お帰りになるとき、宇都宮駅までお送りして、その際「4年連続を狙いたいですねぇ」と意気軒昂におっしゃっておられました。
この時にお目にかかってお話を少しして、それだけでも、本当に本の事、作家さんのことを大切にされている方だと分かりました。
太田さんほど深い繋がりではないけれど、でも、大変残念な思いです。
改めて太田さんのプロフィールを読んで、宇山さんのすごさを確認しました。
そうそう、一緒にお話をした中で、太田さんの話が出たとき、
太田さんがうつのみやこども賞の授賞式の写真をご覧になったようで、「カレのあんないい笑顔を初めてみましたよ」と嬉しそうでしたよ。
宇山さんも表彰式ではとても素敵な笑顔でした。合掌。

投稿: ムーク | 2006.08.06 15:23

ご冥福をお祈りいたします.....

投稿: かな | 2006.08.06 22:59

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