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2006.12.31

大晦日

 今年も今日限りとなりました。
 ありきたりな感想ですが、時の流れが早いですね。

 今年は新刊3冊に文庫が1冊と、あまり振るわない一年でした。もっと書かなければと思いつつも、今ひとつ波に乗れない感じです。「本格ミステリ・ベスト10」や「活字倶楽部」のアンケートに書いたとおり、今は狩野俊介シリーズ新作の書き下ろしに手を付けているのですが、途中で雑誌の仕事が入ったりして、ほとんど進みませんでしたし。
 来年は、なんとかしたいです(と、去年も思ったような気がしますが)。

 すみません、一年の総括だというのに気合いが入らなくて。

 仕事以外のこととなると、やはりパフの病気のことが一番でしょうか。
 じつは今月27日にも手術をしました。気になる痼ができていたので切除したんですが、怖いものではありませんでした。抗癌剤の効果もあってか悪性のものはできていませんが、これからもちょくちょく手術をすることにはなるかもしれません。パフ自身がとても元気なので、僕らもそれほど心配はしてませんけど。

 恩人である宇山日出臣さんが亡くなられたのも、印象深い、いや、いまだに喪失感の消えない出来事でした。宇山さんが編集者にならなかったら、日本のミステリはずいぶんと違ったものになっていたでしょう。もちろん、僕は小説家にはなれなかったと思います。
 この先、僕は宇山さんが喜んでくれるような小説を書いていきたい。切実にそう思っています。

 それでは皆さん、良いお年をお迎えください。

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2006.12.25

七面鳥焼きました

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 毎年イブにはローストチキンを焼いてるんですが、今年は七面鳥を焼いてみました。
 作り方はチキンと同じ。バターで炒めたタマネギとパンとレーズンを詰め込んで、オーブンで45分焼いただけ。時間はかかりますが、手間はかかりません。
 ターキーにはクランベリーソースが一番合うらしいんですが、今回は家にあるもので代用。バルサミコと赤ワインを煮詰めてバターを加えただけの簡単なソースですが、チキンより淡白な七面鳥の肉に、結構合いましたよ。
 去年と同じくお義母さんも招待したので、帰りは車で送るつもりだったので飲み物はシャンメリーだけ用意してたんですが、お義母さんが美味しいシャンパンを持ってきてくれたので、つい飲んでしまいました。で、お義母さんはバスで帰宅。申し訳なかったです。シャンパンめっちゃ美味しかったですけど。
 七面鳥の隣の写真は、同じくお義母さんが持ってきてくれたケーキです。シンプルですが生クリームがアイスクリームみたいな味わいで、とても美味しかった。
 お義母さんはパフとモモにもオヤツを持ってきてくれました。ありがとうございました。

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2006.12.21

感謝

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 毎年恒例、ステーキ家のクリスマスディナーに行ってきました。
 今年のメニューは大根なますのスモークサーモン巻き、タコとバナナの豆板醤マヨネーズ、チーズフォンデュ、さつまいものポタージュスープ、伊勢海老のテルミドール、生姜のシャーベット、ローストビーフ、大根の浅漬け塩昆布風味、ハヤシライス(いつものインドカレーもあり)、デザートにコーヒー、というものでした。いつものことながら、どれも本当に美味しゅうございました。
 写真は左がメインディッシュのローストビーフ、中がデザート(右から塩のアイス、リンゴのワイン煮、カボチャのテリーヌ、苺のスープ仕立て、チョコレートムース……だったよな?)

 で、右の泡盛なんですが、この店の常連で僕の本を読んでくれている方からの差し入れです。その方もディナーの予約を入れられたそうなんですが、僕とは違う日なので会うことができなかったのです。
 ありがたくいただきました。とても飲みやすくて美味しいお酒でした。便箋をお借りして御礼の手紙を書いたのですが、そのときすでにかなり飲んでしまい酔っぱらっていたので、何を書いたのか覚えていません。失礼なことは書かなかったと思うんだけどなあ……。
 でも、本当に嬉しかったです。感謝感謝です。

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2006.12.20

『崖の館』復刊

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 少し前にネット上で「成分分析」ってフリーソフトが流行りました。単語を入力すると色々な成分に分析してくれる、いわゆるジョークソフトです。(ちなみにWeb上でできるサイトはこちら
 じつは僕、ずっと以前から似たようなことを考えていました。自分は何でできているんだろうって。
 この場合の「何で」というのは、自分という人間を形成する外部からの影響、つまり音楽とか本とか映画とか人物とか、そういうものです。
 例えば音楽なら、浜田省吾とビートルズと森田童子が主成分で、それぞれ数パーセントは占めるだろうとか。漫画なら断然三原順、他に吾妻ひでおや萩尾望都や高橋葉介とかが、かなりのパーセンテージを占めるだろうな、とか。
 そして小説の場合、もちろん乱歩や横溝、クイーンやロス・マクドナルドといった大御所が主成分となるに違いないんですが、しかし成分分析で最初のほうに表示されるものだけで自分はできているわけではない。むしろ微量のスパイスや香料にこそ、太田忠司という人間を特徴付けているのかもしれません。
 わずかな分量だけど、欠くことのできない成分。
 僕にとって佐々木丸美という作家は、そういう存在です。

 いわゆる館三部作のうち、最初に出会ったのは第二作の『水に描かれた館』でした。実家の近所にあったスーパーの二階、ごく小さな書店でその本を見つけたときのことを、今でも鮮明に覚えています。薄い本でした。貧乏だったのにどうして見知らぬ作家のハードカバーを買う気になったのか、よくわかりません。
 一読して、魂を揺すぶられるような衝撃を受けました。松本清張に代表される社会派推理小説のように、現実的な舞台で現実的な人間が登場するようなミステリしか書かれていなかった時期に、北国の岸壁に建つ白い洋館を舞台にした殺人事件なんて「非現実的な」小説を成立させることができるのか。いや、それ以上に、こんな文体でミステリを書くことができるのか。本心から驚き、そして魅了されました。
 そして遡って第一作『崖の館』を読んだとき、さらに大きな衝撃にやられました。これって、完璧なまでに本格じゃん。クイーンやヴァン・ダインに匹敵するじゃん。
 以来、『崖の館』は僕にとってオールタイム・ベストテンに必ず入れるべき作品となりました。
 じつは、ここだけの話、僕の長編デビュー作『僕の殺人』の文体は、佐々木さんの影響を受けています。「どこが?」と言われるかもしれませんが、佐々木さんの作品を読んでいなければ、僕はあのような文体でミステリを書こうとは思わなかった。これは確かなんです。
 佐々木さんにはこの館シリーズの他に『雪の断章』から始まるシリーズもありますが、こちらはさすがに少女趣味が強すぎ、僕は手を出せませんでした。でも『崖の館』『水に描かれた館』『夢館』の3作は、いまだに輝きを失わない宝石です。
 残念なことに佐々木さんは後年筆を断ち、昨年12月に亡くなりました(ああ、もう一周忌なのか)。生前、自作の再刊行を拒絶されていたとかで、ここ数年は本を入手することも困難な状況でした。佐々木丸美という名は、畏怖と憧憬を籠めた伝説のように語られていたのです。
 しかし今回、創元推理文庫で館シリーズの刊行が決まり、ついに『崖の館』が書店に並ぶこととなりました。佐々木さんの逝去によってそれが許されるようになったというのは悲しいことでもありますが、日本のミステリ史上に独自の地位を築き、今なお輝きを失わない名品を、ぜひとも未知の読者にも読んでもらいたいと思います。

 なんだか文庫の解説みたいな文章になってしまいました。でも本心を言えば、『崖の館』の文庫解説、書きたかったです。

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2006.12.17

太田忠司の店、開店

 すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、このブログの左欄、「関連サイト」のところに項目がひとつ増えております。
「太田忠司の店@amazon」というのです。ここをクリックすると僕の著書がamazonで買えます。要するにアフィリエイトですね。インスタントストアというシステムを利用したものです。
 よかったら覗いてみてください。

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2006.12.14

携帯用サイトを作りました

 携帯電話で掲示板をご覧になっていた方から「ケータイでも著作リストとかを見ることはできますか」という問い合わせをいただきました。
 でも僕のホームページやこのブログはモバイル対応にはなっていないので、それは無理なのです。
 とはいえ、昨今の携帯電話によるネットアクセスの増加傾向を見ると、やはりそっちでも情報発信しておくべきかなと思いまして、このたび携帯用サイトを立ち上げました。
 アドレスは、

http://hp.tcup.jp/ohta/1/simple01.php

 内容はホームページにある著作リスト、プロフィール、これから出る本のコピーです。

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2006.12.09

別冊 文藝春秋 2007年 01月号

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 続けて掲載誌のご案内。
 別冊 文藝春秋 2007年 01月号が届きました。月読シリーズの新作短編『そこにない手』が掲載されています。(Amazonで購入される場合はこちら
 今回は『月読』に登場したあのひとがゲスト出演しています。
 これで月読連作は一区切り。3月頃に単行本として上梓する予定です。

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2006.12.08

ミステリーズ!vol.20

 ミステリーズ!vol.20 DECEMBER 2006の見本が届きました。
『奇談蒐集家』シリーズ第五話『冬薔薇の館』が掲載されています。
「冬薔薇」は「ふゆそうび」と読みます。俳句の季語ですが、今回の小説は俳句とは関係ありません。

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