みんな昔はリーだった
後藤“大王”ひろひと作・演出の舞台「みんな昔はリーだった」を観劇。
いつもファンタジックな設定を持ち込むことの多い大王の作品なんですが、今回はいたって普通の話。1970年代、ブルース・リーに憧れ、一生懸命リーになろうとしていたバカ中学生たちの話です。「燃えよドラゴン」のシーンを全部暗記して台詞まで言ったり、アクションや顔付き、怪鳥音と呼ばれた声を必死に真似て、リーに近付けば近付くほどカッコいいと思ってた男子たちと、それをバカにしながらも優しく見守っている同級生女子(リーの映画のヒロインに似ているからと「ミャオ」という綽名が付いている。リーの映画を観てたひとにはよくわかる命名ですよね)、そして海外から引っ越してきたばかりでリーのことは何も知らず、友達になるため一生懸命リーのことを知ろうとする転校生。彼らの本当に何でもない、どこにでもあった、でも特別な時間が描かれていました。
観てる間に「ああ、これって僕のための芝居だよなあ」と思いましたよ。僕も昔、リーでしたもん。家にバトミントンのラケットの柄を鎖で繋いだヌンチャクがありましたもん。「燃えよドラゴン」のサントラ盤、毎日擦り切れるほど聴いてましたもん。そうだよ、みんな昔はリーだったんだよ。
物語は当時の世界情勢が少し絡み、とても悲しい結末から、最後の最後にちょっとだけ奇蹟が起きて終わります。時を経て中年になってしまったリーだった少年たちが集まったあのシーン。ほんとによかったです。
主演がネプチューンのホリケンだと聞いていたのでかなり危惧してたんですが、役柄はテレビで観る彼そのものだったので舞台を壊すことなく、うまく馴染んでしましたね。
名古屋での公演が千秋楽だったそうで、アンコールで出てきた大王が舞台初出演のホリケンに、
「君に舞台にいるものしか観ることのできない、とっておきのプレゼントを上げましょう」
と言って、観客にケータイの電源をオンにさせました。で、何をするかとも思っていたら、
「では待ち受け画面を舞台に向けて大きく振ってください」
観客が言われたとおりにした瞬間、ホリケンが、
「うわーっ、すげーっ!」
と歓声をあげました。光る待ち受け画面が左右に揺れて、ペンライトの演出みたいになったんです。たしかにこれ、舞台の側からでないと観られない光景だ。
「舞台人の天敵であるケータイも、ほらこのとおり」
自慢げに語る大王が、とっても粋に見えましたよ。
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