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2008.09.15

島崎博さんをお迎えする会

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「幻影城」は1975年から1979年にかけて発行されていた探偵小説専門誌です。歴史に埋もれてしまった探偵小説の発掘および再評価と、新しい探偵小説の書き手の発見および育成が雑誌の趣旨でした。
 特に新人については泡坂妻夫、栗本薫、田中文雄、田中芳樹、友成純一、連城三紀彦、竹本健治といった、後の新本格の勃興にも結びつく多彩な才能を見出したことで、日本のミステリ界には多大な貢献をしました。
 その「幻影城」を主宰していた島崎博さんは雑誌休刊後、故郷である台湾に戻られ、そのまま日本では消息不明の状態が長く続いていたのですが、ネット社会の発達が台湾と日本のミステリファンを結びつけ、その中から島崎さんの消息も知れ、昨年は有志による同人誌「幻影城の時代」も刊行されるまでになりました。
 そしてついに、島崎さんが日本にいらっしゃるということになり、それに合わせて本格ミステリ大賞特別賞の授与式を兼ねた歓迎会が9月13日に開かれることになりました。
 僕も「幻影城の時代」に駄文を掲載させていただいた縁があり、そしてなにより雑誌「幻影城」に胸ときめかせた青二才本格マニアのひとりとして、出席してきました。

 会場は神保町の学士会館。なかなか趣のある建物でした。
 でも会のほうはそれ以上に歴史の重みを感じさせるものでした。
 だって憧れだった幻影城作家が、あちらにもこちらにも!
 まさに歴史が目の前を歩いていく状態です。
 僕なんて、まったくのペーペーですなあ。

 会は本格ミステリ大賞特別賞授与式と来賓の挨拶、そして島崎さんのお言葉の後に乾杯と続きました。
 歓談のときに思い切って(というか、事務局の石井春生さんの力を借りて)島崎さんに御挨拶し、名刺交換してもらい、一緒に写真まで撮ってもらいました。これだけのことをするのに、どれほどのエネルギーを使ったやら。
 でも調子に乗っちゃって、その後なんと泡坂妻夫さんにも御挨拶してサインもらっちゃいましたよ。すっかりミーハー。
 途中で栗本薫さんによるピアノ演奏と泡坂妻夫さんの手品という贅沢なアトラクションもありました。列席者全員による写真撮影では別の場所に移動したんですが、たまたま一番後の段に立ったら、その後が奈落状態。しかも120人くらいしか撮影できない場所に150人も押し込んだんだそうで、ときおり押されて命の危険を感じるほどでした。写真に写った僕の顔、引きつってるかも。

 会が終わった後は数人で喫茶店休憩した後に二次会へ。
 こちらも大盛況でした。根っからのエンターテイナーな泡坂妻夫さんは、あちらこちらで手品を披露。年齢を感じさせないその手際に、僕と有栖川有栖さん、綾辻行人さんは揃って手を合わせ「ありがたやありがたや」と拝んでしまいましたよ。
 他にも現役作家は芦辺拓さん二階堂黎人さん倉阪鬼一郎さん喜国雅彦さんその他大勢いらっしゃいました。みんな幻影城の子供たちです。
 二次会の席で若い編集者が「30年前の雑誌なのにこんなにも大勢のひとが集まるなんて驚きです」と言ってましたが、それだけの魅力があったんですよね。

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2008.09.12

ハンコック

「ハンコック」観てきました。
 飲んだくれで下品で全然人気のないスーパーヒーローが、偶然命を助けた広告マンの助言で「正しい」ヒーローに変わろうと努力する話……が前半。後半はハンコックの超絶パワーの秘密が明かされるって展開なんですが、結局のところこの映画、それらの設定がすべて、なのですね。いや、設定そのものはよくできてると思いますよ。ウイスキーのボトル抱えながらふらふらと空を飛ぶヒーローって画だけで満足できます。ただ設定からどう物語を膨らませるかってところになると、ちょっと不満が出てくるなあ。特に広告マンの奥さんとの絡みで。もう少し、あと少し、なんとかならなかったものかと。
 それと、クライマックスあたりでストーリーを面白くするために設定をいい加減にしちゃってるところも、ちょっと気になりました。

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2008.09.03

ダークナイト

 遅ればせながら「ダークナイト」を観てきました。
 なんかすごいものを観てしまった気がする。
 並な映画なら二、三本作れそうなアイディアをブチ込んで、破綻寸前のところで見事に纏め上げている。脚本と監督の力量には感服するしかありません。

 それにしてもジョーカー、怖すぎ。「羊たちの沈黙」でのハンニバル・レクターに匹敵するような、歴史に残る悪の姿でした。
 観終わってからも、ずっと恐怖が体の芯に残ってるような感じ。これ、いつか経験したことあるなと記憶をまさぐってみたら、昔々「ジョーズ」を見たときに感じたのに似てました。あのときは、いつ鮫が襲ってくるかわからない恐怖を映画を観たあともずっと引きずってたんですが、今回は映画の後に地下街を歩いていても書店を覗いていても、どこからからジョーカーの仕掛けた悪に嵌まるのではないかと、そんな感覚が抜けなかったのです。

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