2日の午前零時15分、パフが虹の橋のたもとに旅立ちました。あまりに急なことでした。
朝から具合はあまりよくなかったのです。食事も残したし。
でも、それほど深刻には考えていませんでした。普段どおり歩いてるし、モモと一緒に吠えたりもしてたし。
今日は休日で獣医さんも休みだから、明日になったらまた連れていけばいいか、と、その程度で思ってました。
でも夕刻になっても具合が悪そうで、いつもなら喜んで食べるキャベツにさえ見向きもしない。それで心配になってきたので車に乗せて休日診療所へ連れていったのです。
診療所でレントゲンを撮ってもらいました。肺が真っ白でした。急性の肺炎ということも考えられないので、心臓の僧帽弁閉鎖不全症から肺水腫を起こしている可能性があると言われました。肺に水がたまって呼吸ができなくなっているんですね。利尿剤を投与して酸素吸入をしてもらうことになりました。
担当してくれた先生は「こういう場合、容体が急変する危険もあります。とりあえず診療時間終了の2時まで処置をして、それで好転すれば家に連れて行く。危険なら一晩預かって治療を続けます」と言われました。
それでも、まだ深刻には考えていませんでした。いつも獣医さんでやってもらっていることとそんなに変わらない。すぐに元気になるだろうと思っていたです。実際、酸素吸入をしたらパフが起き上がってゲージの中を歩いたりしてたんで、これで大丈夫だと思っていたんです。
待合室で処置が終わるのを待っているとき、突然「すぐ来てください」と呼ばれました。行ってみるとパフがゲージの中で力なく横たわっていました。舌が真っ白でした。痙攣のような動きをしていました。
すぐに気道にチューブを挿入し、強心剤を投与し、心臓マッサージをしました。一時30近くまで落ち込んでいた脈拍が、それで70程度まで戻りました。
そう、一旦は持ちこたえたんです。
でもそのとき、僕は「これはまずい」と初めて思いました。パフが脱糞していたんです。この夏、家の庭で死んでいた猫を抱き上げたとき、同じように脱糞していたことを思い出しました。気が遠くなりました。
その後、一度待合室に戻って間もなく、また呼ばれました。
再び脈拍が落ちていました。心臓マッサージも投薬も、効き目がありませんでした。先生が瞳孔を調べ、肛門の括約筋の弛緩を確認し、僕らに言いました。
「今はまだ微弱ながら脈がありますが、これは人工呼吸で無理矢理動かしているからです。すでに脳死と同じ状態にあります」
パフに触れました。まだ温かでした。でも、呼吸も脈動も感じられませんでした。
嫁さんは泣いていました。僕は言いました。
「いつか、この日が来るとは思ってました。でも今日とは思わなかった」
そして、続けて言いました。
「ありがとうございます。もう、結構です」
午前零時15分。人工呼吸が外されました。
箱に入れて家に戻りました。
箱にパフが最後まで好きだったボールと亀のぬいぐるみ、体をこすりつけて匂いを全身に染み込ませるほどお気に入りだったローズマリーの枝、それから花屋さんで買ってきた棚束を納めました。先程、霊園のひとに引き取ってもらいました。今日の夕刻か明日には、お骨になって帰ってくる予定です。
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