後藤ひろひと作・演出、原田泰造主演の舞台
「ニッポン無責任新世代」を観てきました。
元ネタはタイトルでわかるとおり、植木等の映画「ニッポン無責任時代」。植木が演じた平均(たいらひとし)の孫、百均(くだらひとし)が主人公でした。この百均が祖父譲りのいい加減さで、さる大企業の子会社に潜り込み、周囲をひっかきまわしながら、いつの間にかダメ会社に活気を与えてしまうというお話。
原田泰造がよかったなあ。冒頭、無銭飲食しようとしていた蕎麦屋で小耳に挟んだ注文電話の内容を利用して、たった10分であれよあれよと言う間に会社に就職してしまう、この流れが素晴らしかった。
この会社、大企業の裏の仕事で得た利益を隠すために設立されたもので、毎年ある程度の赤字を計上することが目的。だから利益を出すような仕事は駄目。ゆえに駄目社員しか雇っていない。駄洒落ばかり言い合っている中年コンビ、バブルの夢から醒めない男、いいかげんなゆとり世代、ひとり頑張って働こうとしては空回りしている女子社員。そんな中に飛び込んだ百均が、たまたま掛かってきた間違い電話から新たなビジネスチャンスを掴んだりして社内の雰囲気をがらりと変えてしまう。最初は迷惑がっていた他の写真たちも、百均に引っぱられるままどんどん新事業にのめり込んでいく。しかし親会社の意向を受けた女性社長(真琴つばさ快演)はその計画をぶっ潰そうとして、さて……といった流れ。
テンポよく、台詞もよく、演技も軽快で観ていて楽しくなれる。後藤ひろひとが震災後笑えなくなってしまった自分をまず笑わせようと書いた脚本だけに、心が上向きになるような楽しさでした。親会社の会長役の黒部進のウルトラマンネタも笑った。兄のあだ名がゾフィーって。
元ネタの「ニッポン無責任時代」は子供の頃にテレビで観ただけなんで詳しく覚えてないんですけど、劇中で平均はとんとん拍子に出世していくのだったかな。それが当時のサラリーマンの理想だったとすれば、今回の百均のスタンスというのは現代の理想なのかなあ。
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